筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
ベルトを使うと、
体幹が弱くなる?
「ベルトに頼ると、体幹の筋肉がサボって弱くなる」という話を聞きます。ベルトをすると、体幹の筋肉の働きはどう変わるのか、研究を見てみましょう。
結論
まだはっきりしない
ベルトで体幹の筋肉がサボる、という結果は、今ある研究では出ていません。その場の筋肉の働きはベルトありでもなしでも変わらず、2か月使い続けた人でも体幹の筋力は下がりませんでした。ただ、研究は少なく小さいので、まだはっきりとは言えません。
エビデンスレベル:低(メタ分析(たくさんの研究をまとめて調べたもの)や系統的レビューは見つかりませんでした。その場で比べた小さな実験(5〜28人)と、ベルトを使わない人と比べていない2か月の追跡研究(36人)だけです。結果の向きはそろっていて、弱くなるという結果はありません。ただ、数も期間も足りません。)ベルトをしても、筋肉の働きは変わらなかった
ベルトをしただけでは、おなかや腰の筋肉の働き方は変わりませんでした。
健康な男性28人が、1回だけ上げられる重さの75%で、バーベルスクワットを3回しました。「何もしない」「おなかに力を入れて固める(ブレーシング)」「ベルトをする」「両方する」の4つの条件で、筋電図(筋肉が出す電気の信号で、筋肉の働きぐあいを見るもの)を調べました。ベルトだけでは、おなか・腰・脚の筋肉の働きは変わりませんでした。おなかの筋肉がよく働いたのは、自分でおなかに力を入れたときで、ベルトをしていてもしていなくても同じでした。
PubMed で見るベルトで、おなかの中の圧力は上がった
ベルトをすると腹圧は25〜40%高くなり、おなかと背中の筋肉の働きは減りませんでした。
5人が、8回できる限界の重さで、スクワットを8回つづけて行いました。ベルトあり・なしの順番はランダムです。ベルトありでは腹圧(おなかの中の圧力で、体幹を内側から支えるもの)が、いつも25〜40%高くなりました。背中の筋肉(脊柱起立筋)とわき腹の筋肉(外腹斜筋)の働きは、ベルトあり・なしで差がありませんでした。
PubMed で見る2か月使い続けると?
ベルトを2か月使っても、体幹の筋力や持久力が落ちたという結果は出ませんでした。
建設作業員が、やわらかい保温ベルトかウエイトリフティング用ベルトを仕事中に使い、使う前・1か月後・2か月後に体幹の筋力をはかりました。リフティング用ベルトの組では、体を前に曲げる筋肉の力が12%、持久力(力を出しつづける力)が29%増えました。やわらかいベルトの組でも、前に曲げる筋肉の力が13%増えました。2か月の終わりに、体幹の筋力や持久力がはっきり下がった人の組はありませんでした。
PubMed で見るどの研究も5〜36人と小さく、何か月・何年も筋トレでベルトを使った人を、使わない人と比べた研究はありません。2か月の研究は、筋トレではなく建設現場の仕事で使ったものです。腰痛のある方やけがのあとの方は、医師や専門家に相談してください。
じゃあ、どうする?
- ベルトは、重い重さ(高重量)のセットだけに使い、軽いウォームアップや補助の種目ではつけずに行う、という使い分けの方法があります。
- ベルトにまかせきりにせず、息を吸っておなかを360度ふくらませるように固める「ブレーシング」を、ベルトなしでも練習しておく方法があります。研究では、おなかの筋肉がよく働いたのは、ベルトよりもこのブレーシングのほうでした。
エビトレでは、種目ごとにメモを残せます。「ベルトはメインのセットだけ」「ベルトなしでブレーシングを練習」のように書いておくと、その種目を開くたびに出ます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)