筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
スクワットで、膝は
つま先より前に出してはいけない?
「スクワットでは、膝がつま先より前に出ないように」とよく言われます。膝を前に出さないようにすると、体への負担はどう変わるのか、研究を見てみましょう。
結論
半分ホント
膝を止めると、膝の負担は少し減りますが、そのぶん股関節(足のつけ根)や腰の負担が大きく増えました。「膝を出すと膝の負担が増える」はホントですが、「出してはいけない」とまでは言えません。
エビデンスレベル:低(この説を正面から確かめたランダム化比較試験(くじ引きでグループを分けて比べる研究)・メタ分析はありません。あるのは、同じ人に2通りのスクワットをしてもらい、カメラで動きを測った小さな実験です(7人と30人)。2つの研究の向き(膝を止めると股関節・腰に負担が移る)はそろっていますが、ケガの数を比べた研究ではありません。)膝を止めると、股関節の負担が増えた
膝が前に出ないよう止めると、膝の負担は少し減るかわりに、股関節の負担が約10倍にふくらみました。
筋トレ経験のある男性7人が、体重と同じ重さのバーベルで、太ももが床と平行になるまでのスクワットをしました。膝がつま先より前に出てよいやり方と、木の板で膝が前に出ないよう止めたやり方を比べました。膝のトルク(関節を回す力の大きさ)は、出してよいとき150.1、止めたとき117.3(単位 N・m)で、止めたほうが少し小さくなりました。一方、股関節のトルクは28.2から302.7に大きく増え、上半身も前に倒れやすくなりました。
PubMed で見る膝を止めると、背中の動きが大きくなった
膝を止めたスクワットでは、背中(背骨まわり)の動きが大きくなり、研究者は「膝が前に出るのをきびしく注意しすぎないほうがよい」とまとめました。
30人が、バーベルの重さを体重の0%・25%・50%に変えながら、膝を自由に出すスクワットと、膝がつま先より前に出ないようにしたスクワットを行いました。体に印(マーカー)をつけ、12台のカメラで背骨や骨盤の動きを測りました。膝を止めたほうは、腰と胸のあたりの背骨の動きの幅が大きくなりました。研究者は、膝を自由に出すほうが背中への負担が小さいと考えています。
PubMed で見るどちらも7人・30人の小さな研究で、1回の動きを測っただけです。長く続けたときにけがが増えるか減るかは、まだ確かめられていません。また、膝が前に出るほど膝の負担は少し大きくなるので、「いくら出してもよい」という意味ではありません。膝に痛みがある方や手術のあとの方は、医師や理学療法士の指示を優先してください。
じゃあ、どうする?
- 膝を無理に止めず、足首・膝・股関節がそれぞれ自然に曲がるようにしゃがむ方法があります。膝の向きはつま先と同じ方向にそろえるのがポイントです。
- 膝に痛みが出るときは、しゃがむ深さを浅くする、重さを軽くする、足の幅やつま先の向きを変えるなど、痛くない形を探してみる方法があります。続くときは専門家に相談しましょう。
エビトレでは、種目ごとにメモを残せます。「つま先と膝の向きをそろえる」「この深さなら痛くない」など、自分に合った形を書いておくと、その種目を開くたびに出ます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)