筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
浅く動かすほうが、
筋肉は大きくなる?
「深く下ろさず、浅く動かしたほうが重い重さを扱えて、筋肉が大きくなる」と聞くことがあります。どこまで動かすか(可動域)で、筋肉の大きくなり方が変わるのか、研究を見てみましょう。
結論
半分ホント
どこを浅くするかで、結果が違いました。筋肉が伸びた側(下ろしきったところ)の範囲を含めると、筋肉が大きくなりやすい傾向がありました。一方で、伸びた側の一部だけを動かす方法は、全部の範囲で動かす方法と同じくらいだった試験が、トレーニング経験者で複数あります。
エビデンスレベル:中(研究のまとめと試験は多いが、筋肉によって結果が違い、分かれているところもある)全部の範囲と、一部の範囲
筋肉が伸びた側の範囲を含めると、筋肉が大きくなりやすい傾向があった
全部の範囲で動かす方法と、一部の範囲だけ動かす方法を比べた11件の試験をまとめました。筋肉が伸びた側の範囲を含めると、大腿四頭筋(太ももの前)・上腕二頭筋・上腕三頭筋などが大きくなりやすい傾向がありました。ただし、筋肉によって結果は違います。
PubMed で見る全体の差はごく小さく、伸びた側の一部だけ動かす方法がやや大きい傾向だった
全部の範囲と一部の範囲を比べた試験をまとめました。全体では全部の範囲のほうがわずかに良い傾向でしたが、差はごく小さいものでした。筋肉が伸びた側の一部だけを動かす方法は、全部の範囲より筋肥大がやや大きい傾向でしたが、はっきりした差ではありませんでした。筋力は、測るときと同じ範囲で練習したほうが伸びました。
論文を見る下ろしきる側を省くと
深いスクワットのほうが、お尻と内ももが大きくなった
深くしゃがむスクワットと、半分までのスクワットを、週2回・10週間比べました。大殿筋(お尻)は深いほうが6.7%、半分が2.2%、内転筋(内もも)は6.2%と2.7%増えました。太ももの前(大腿直筋を除く)は、どちらも同じくらい増えました。
PubMed で見るカーフレイズは、かかとを下げた側の半分の範囲がいちばん大きく増えた
若い女性42人が、カーフレイズを、全部の範囲・かかとを下げた側の半分・つま先立ち側の半分の3グループに分かれて8週間行いました。内側の腓腹筋(ふくらはぎ)は、かかとを下げた側の半分がいちばん大きく増えました(15.2%。ほかの2つは6.7%と3.4%)。
PubMed で見る座って行うレッグカールのほうが、ハムストリングスが大きくなった
片脚は座って行うレッグカール(ハムストリングス=太ももの裏が伸びた姿勢)、もう片脚はうつ伏せのレッグカールを12週間行いました。ハムストリングス全体の増え方は、座って行うほうが大きくなりました(+14%と+9%)。
PubMed で見る背もたれを倒したレッグエクステンションで、大腿直筋が大きく厚くなった
トレーニング未経験の男性22人の試験です。片脚は背もたれを倒した姿勢(大腿直筋が伸びた姿勢)、もう片脚はふつうの姿勢で、レッグエクステンションを10週間行いました。大腿直筋は、背もたれを倒したほうが大きく厚くなりました。外側広筋は差がありませんでした。
PubMed で見る伸びる側だけ動かすと?(経験者の試験)
伸びた側の一部だけでも、全部の範囲でも、筋肉の大きくなり方は同じくらいだった
トレーニング経験のある297人が、15か所で参加した大きな試験です。腕と脚の種目を、筋肉が伸びた側の一部だけで動かすグループと、全部の範囲で動かすグループに分けて12週間行いました。腕と太ももの筋肉の大きくなり方に、ほとんど差はありませんでした。どちらのグループも、増え方は小さめでした。
PubMed で見る上半身の種目でも、伸びた側の一部だけと全部の範囲で、同じくらいだった
トレーニング経験が平均約5年の25人の試験です。上半身の4種目を、片腕は筋肉が伸びた側の一部だけ、もう片腕は全部の範囲で8週間行いました。筋肉の厚さの増え方も、ラットプルダウンの10RM(10回だけ持ち上げられる重さ)の伸びも、同じくらいでした。
PubMed で見るレッグプレスで、ひざを曲げる深さを変えても、太ももの前は同じくらい大きくなった
トレーニング経験が平均約7年の23人の試験です。片脚はひざを約100度まで、もう片脚はできるだけ深く(約154度)曲げて、レッグプレスを8週間行いました。太ももの前の厚さの増え方は、同じくらいでした。
PubMed で見る筋肉の長さを変えて比べても、部位ごとの大きくなり方の差はごくわずかだった
筋肉が長い状態で鍛える方法と、短い状態で鍛える方法を比べた12件の試験をまとめました。付け根の近く・真ん中・先のほうの、どの部位でも差はごくわずかでした。ただし、比べた条件どうしの長さの差が小さい試験が多い点に、注意が必要とされています。
PubMed で見る筋肉が伸びた位置で鍛えると、筋肉が長さの方向にも育つ可能性を示したまとめ(8件の試験・合計120人)もあります。ただし、結果は分かれていて、測り方にも限界があるとされています。
全体として、「伸びる側を含めるのが大事」という傾向はありますが、筋肉によって結果は違います。297人の試験は、筋肉の大きさを腕や脚の周りの長さと皮下脂肪の厚さから推定した方法で、どちらのグループも増え方は小さめでした。未経験者と経験者で、結果が違う可能性もあります。
じゃあ、どうする?
- まずは全部の範囲で:特に、筋肉が伸びる側(下ろしきったところ)を省かない方法があります。
- 浅くするなら、伸びる側で:伸びる側の一部だけで動かしても、全部の範囲と同じくらい大きくなったという試験もあります。
- お尻や内ももも鍛えたいとき:スクワットは、深くしゃがむほうが大殿筋・内転筋が大きくなったという試験があります。
伸ばす時間と筋肉の関係は、ストレッチと筋肉の記事でまとめています。
エビトレなら、種目ごとに、どんな研究があるかをエビデンスレベルつきで確かめられます。可動域のような「やり方」の研究も、トレーニングの原則のカードで、出典の論文つきで確認できます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)