筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
筋トレ前のストレッチで、
力が落ちる?
体を止めたまま、筋肉をじっと伸ばすストレッチを「静的ストレッチ」と呼びます。「筋トレの前に静的ストレッチをすると、力が出なくなる」と聞いたことがあるかもしれません。本当でしょうか。
結論
半分ホント
1か所60秒以上の長いストレッチでは、直後の最大の力が落ちやすいという結果でした。1か所30秒未満〜45秒ほどなら、直後の力への影響は小さいとまとめられています。また、新しいまとめでは、ジャンプやダッシュは落ちませんでした。
エビデンスレベル:高い(100件ほどの研究をまとめたものが複数あり、結果がそろっている)伸ばす時間で、結果が変わった
30秒未満なら力はほとんど落ちず、60秒以上で落ちやすかった
静的ストレッチの直後の、最大の力やパワーを調べた106件の研究をまとめました。30秒未満のストレッチでは、力はほとんど落ちませんでした(約1%)。30〜45秒でも、はっきりした影響はありませんでした。60秒以上になると落ちやすくなりました。種目や筋肉が違っても、同じ傾向でした。
PubMed で見る合計45秒以下のときに、影響がいちばん小さかった
運動の前の静的ストレッチを調べた104件の研究のまとめです。全体では、筋力は約5%、瞬発的な動きは約2%落ちました。ストレッチの合計の時間が45秒以下のときに、影響がいちばん小さくなりました。準備運動を静的ストレッチだけにするのはさけたほうがよい、としています。
PubMed で見るあとに動く準備運動を入れると、はっきりした影響はなかった
運動習慣のある健康な人の研究をまとめました。静的ストレッチは、1つの筋肉に60秒以上で落ちやすく(約5%)、60秒未満では約1%でした。静的ストレッチのあとに、体を動かす準備運動を入れた研究では、はっきりした影響はみられませんでした。
PubMed で見る新しいまとめでは、跳ぶ・走るは落ちなかった
最大の筋力は少し落ちたが、ジャンプやダッシュは落ちなかった
比べるグループのある83件の研究をまとめた、新しい研究です。静的ストレッチの直後、最大の筋力は少し落ち、1回60秒以上では大きく落ちました。一方で、跳ぶ・走るなどの動きは落ちず、成人のジャンプは少し上がりました。準備運動から静的ストレッチを外す必要はない、とまとめています。
PubMed で見るじゃあ、筋トレの前はどうする?
- 1か所30秒ほどにする:短いストレッチなら、直後の力への影響は小さいという結果でした。
- そのあとに体を動かす:静的ストレッチのあとに、軽い重さでのウォームアップや、動きながらのストレッチを入れる方法があります。動く準備運動を入れた研究では、はっきりした影響はみられませんでした。
- 長いストレッチは後に回す:重い重さで最大の力を出したい日は、1か所60秒以上の長いストレッチを、筋トレの後や休みの日に回すとよいと考えられます。
筋トレそのものでも体が柔らかくなる、という研究もあります。「筋トレをすると、体がかたくなる?」でまとめています。
エビトレには、ストレッチ図鑑があります。ストレッチやフォームローラーなど34種を、やり方・研究の中身・動画つきで紹介しています。図鑑は無料で使えます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)