筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
ストレッチをすれば、
けがは減る?
「運動の前にストレッチをしておけば、けがが減る」とよく言われます。けがの起こりやすさを、ストレッチをした人としなかった人などで比べた研究を見てみましょう。
結論
ウソ
ストレッチで、けが全体が減るという結果は出ていません。いくつもの研究のまとめで、同じ結論でした。一方で、筋トレのプログラムでは、けがが少なかったというまとめがあります。ただし、調べた研究はスポーツ選手が中心です。
エビデンスレベル:中(ストレッチの結果は複数のまとめでそろっているが、筋トレの結果は試験の数が少なめで、ばらつきがある)ストレッチと、けがの起こりやすさ
ストレッチではけがは変わらず、筋トレではけがが3分の1未満になった
スポーツのけがを減らすための運動を調べた、25件のランダム化試験(くじ引きのようにグループを分けて比べる試験)のまとめです。ストレッチでは、けがの起こりやすさは変わりませんでした。筋トレのプログラムでは、けがが3分の1未満になりました。バランスの練習や、いくつかを組み合わせたプログラムでも、けがは少なくなりました。
PubMed で見るストレッチで、けが全体が少なくなるとはいえなかった
スポーツや運動をする人の研究をまとめました。ストレッチをしても、けが全体が少なくなるとはいえないという結果でした。続けるべきか、やめるべきかを決めるには、根拠が足りないとしています。
PubMed で見る準備運動の静的ストレッチで、けが全体は減らなかった
準備運動の中の静的ストレッチ(体を止めて筋肉を伸ばすストレッチ)と、運動によるけがを調べた研究のまとめです。ランダム化試験4件はどれも、けが全体は減りませんでした。筋肉や腱のけがは減るかもしれない、という根拠もありましたが、まだ少ないとされています。
PubMed で見る静的ストレッチなどで、けが全体・使いすぎのけがが減るとはいえなかった
運動習慣のある健康な人の研究をまとめました。静的ストレッチや、PNF(相手に押してもらうなどして伸ばす方法)で、けが全体や、使いすぎによるけがが減るとはいえませんでした。動きながらのストレッチは、データがありませんでした。
PubMed で見るハムストリングス(太ももの裏)のけが
伸ばしながら力を出す筋トレで、ハムストリングスのけがが57〜70%少なかった
大人のスポーツ選手を調べた108件のランダム化試験のまとめです。ハムストリングスを伸ばしながら力を出す筋トレ(エキセントリック)をすると、ハムストリングスのけがが57〜70%少なくなりました。静的ストレッチは柔軟性をいちばん大きく上げました(約11度)が、その変化は長くは続きにくかったという結果です。
PubMed で見る筋トレの結果は、1件の大きなまとめと、ハムストリングスのまとめが中心です。元になった試験の数は多くなく、結果にもばらつきがあります。また、どの研究もスポーツ選手を調べたものが多くなっています。
じゃあ、どうする?
- ストレッチだけに頼らない:けがを減らしたいなら、筋トレやバランスの練習を続けるほうが、研究の結果に合っています。
- 伸ばしながら力を出す動きも:ハムストリングスでは、伸ばしながら力を出す筋トレで、けがが少なかったというまとめがあります。
- ストレッチは柔軟性のために:ストレッチは、柔軟性を上げたいときに足す方法と考えられます。
筋トレの前のストレッチと力の関係は、「筋トレ前のストレッチで、力が落ちる?」でまとめています。
エビトレには、ストレッチ図鑑があります。ストレッチやフォームローラーなど34種を、やり方・研究の中身・動画つきで紹介しています。図鑑は無料で使えます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)